旧帝国ホテルの建築と大谷石
OFFICIAL 2018.8.8
昨日に続き本日はお客様と愛知県犬山市にある明治村へ。
目的は明治村にあるフランク・ロイド・ライトが基本設計をした旧帝国ホテルの中央玄関を見学。
実はこの旧帝国ホテル中央玄関は、明治時代の建物ではなく大正時代(1923年:大正12年)に竣工された建築物。
関東大震災や太平洋戦争末期の空襲にも耐えた建物として、ほぼ損害がなかったとことで一段とフランク・ロイド・ライトの名声を高めた「伝説的代表作」のひとつだと言われています。
見どころはこの建物の内外装に多様されている、重厚感ある煉瓦の土の質感と幾何学模様で彫刻されたやわらかい雰囲気をあわせ持つ大谷石のコントラスト。それぞれの素材の特性を生かしながら、建物の内・外に神秘的な表情美と造形美を演出。
当時、その神秘的な建築に触れた海外の賓客達から「世界一美しいホテルだ」と言われたほどです。
尚、このホテル建築にあたってフランク・ロイド・ライトが着眼したのが日本ならではの建築資材「大谷石」。石なのに加工しやすく燃えにくい特性に着眼し、複雑な装飾製作(幾何学的な装飾模様)を日本の石工職人に依頼。石工たちが作りあげた大谷石の傑作を見たフランク・ロイド・ライトは、その完璧な製造技術と妥協なきものづくりの姿勢に深い感銘をうけたとの事。
その後、帝国ホテルの仕事を終えた石工たちは、大谷石を蔵や塀・門柱に限らず様々な石造りの建築の内外装に使用。装飾のモチーフとなる柄もそれまで主流であった松竹梅や鶴亀から、複雑なアールデコ調の装飾を施すようになり、表現の幅が広がっていくのです。
帝国ホテルで表現された建築美と素材美は、西洋でも東洋でもない日本の独自のアイデンティティが生んだ傑作なのです。
世代を超えて住み継がれる家 オーガニックハウスより